オージー技研株式会社様
オージー技研株式会社は2014年1月からベトナム人技能実習生の受け入れを始めました。採用しているのは全員女性の技能実習生。華やかな雰囲気のメンバーが揃う彼女たちの様子を伺いました。
オージー技研株式会社は1949年に医療・リハビリ機器メーカーとして創業。以来、医療・福祉の現場で求められている商品をユーザーの声をもとに開発しています。お客様との信頼を築きながら、誠実な企業倫理の元で成長・発展されている会社です。そのような環境の中、技能実習生達は仕事を通じて日本人のものづくりに対する姿勢を学ぶことができているようです。
企業側の目線
オージー技研にとって技能実習生の受け入れはコンプライアンスや企業倫理の面でかなり慎重に検討が進められました。 製造部の國定次長は「仕事は精密機器の製造で細かく難しい作業を要します。日本語が不慣れな技能実習生がどこまで作業を覚えられるのかという懸念がありました。組合の方にいろいろと資料を用意して頂き、実際に技能実習生の受入の様子を見学させてもらいました。また、受け入れに当たってレポートを用意しなければならなかったのですが、組合担当者に相談し、協力を得ながら資料をまとめました。」と当時を振り返ります。
実際に國定次長を含め、当時の上司と総務担当者の3名でベトナム現地面接会へ参加。直接面接を行い、初めての受入れとなる2人、ガンさんとマイさんの採用を決定しました。1年目は技能実習生も日本語の壁や作業の難しさもあり、思い通りに作業習得が進まなかった時期もあったそうです。 「最初は思ったよりも伸びなかったというのが正直な感想です。でも、ひたむきに作業を覚えようとする技能実習生の姿勢に『しっかり教えてあげないと』と触発されました」と國定次長。一度作業内容を覚えると、思った以上に速く、正確に作業をこなし、経験を重ねるにつれて飛躍的に作業ができるようになりました。
技能実習生側の目線
技能実習生たちは、母国のベトナムでテレビやインターネット等からいろいろな情報を得て日本のことを知っていました。今回インタビューした写真の4名は全員、来日前から日本で技術を学びたいと強い希望を持っていました。実習を開始するまでの約半年間日本語の勉強をしてきましたが、現場では専門用語も多く、慣れない言葉も多い為、常に辞書を持ち歩き、メモを取って調べ、勉強していたそうです。
入社3年目となるガンさんは「実習期間を通して、私たちが製造する商品がいかに使う人の目線や気持ちを大切にして作られているかを知りました。また、細かく、丁寧で、安全、誠実な気持ちで仕事に取り組んでいくことが、良い商品づくりにつながることが勉強できました。日本人の仕事に対する姿勢を日本で学べたことが自分自身にも大きな糧になりました」と憧れの日本でモノづくりを経験できたことにとても誇りに思っている様子です。
インタビュー中のこぼれ話
- ー プライベート編
- 職場仲間とのバーベキューに参加した時のこと。普段お世話になっている上司や同僚の方々に、ベトナム風のお好み焼き『バインセオ』をふるまうなど楽しい時間を過ごしています。
また、会社のクラブ活動の応援に出かけたこともあるそうです。一緒に働く女性社員の方々が、彼女たちの帰国(=卒業)を目前に「お別れ会で着物を着せて写真を撮ってあげよう」といった企画も持ち上がっており、自然と交流が生まれ、技能実習生を大切にされている様子が伺えました。
- ー こんなときに助かった組合の対応
- 特に組合の女性通訳スタッフとは気心の知れた間柄。SNSを通じて日常生活の細かな相談、特に女性特有の相談事にも細かく応えてくれています。例えば、美容院に行ったときのカットの指示や婦人系の病気に関する病院での通訳対応など。
組合では通訳スタッフが常に技能実習生をサポートしています。毎月1回の面談で技能実習生たちに直接会って、どんな様子か把握するのはとても大切な時間です。
表情や態度から元気がなさそうなときは「どうしたの? 元気ないみたいだけど大丈夫?」と声をかけて悩みやわだかまりを聞きだし、解決していきます。
受け入れ企業と技能実習生の関係を円滑にするために、企業と技能実習生、双方の要望なども聞き出して伝え合うこともあります。
時には恋の悩みなど本当に精神的な部分の相談に乗ることもあり、母国を離れて働く技能実習生を家族のような気持ちでキメ細やかに支えています。
- ー エピソード
- 國定次長はベトナム面接へ赴いた際、技能実習生の両親の実家にも挨拶に行きました。技能実習生の出身地は田舎であるケースが多く、訪問までとても長い道のりだったそうです。
ご両親に挨拶したとき、ご両親はわざわざ日本から会社の方が挨拶に来てくれたことへの感謝の気持ちと、大切な娘さんを送り出す寂しい気持ちで涙していたそう。
「ご両親のそんな姿に安心して日本で過ごしてもらえるよう、技能実習生たちを守って誠心誠意対応しよう」と心に決めたそうです。
技能実習生がどんな場所でどんな風に育ったのか実際に現地を訪れてみるとまた、実習期間中の交流がより深いものになるでしょう。
企業、技能実習生の今後
オージー技研では、1期生から2期生、3期生と主力製品の製造工程を担当してもらう予定です。
実習指導員の指示の元、1期生が苦労した作業ポイントを中心に作業習得がスムーズに進むよう、先輩が後輩にアドバイスしています。ベトナム人同士とはいえ、技能伝達に当たっては容赦なく厳しい指示が飛ぶこともあるとか。
1期生の帰国もあと残りわずか。初めて帰国生を送り出すことに対し、國定次長は「やっと一人前に育ってくれたけれど、もう卒業していってしまうのかと思うと本当に寂しいです。会社に入ったばかりの頃は出張が多く、なかなか世話をすることができず辛い思いをさせてしまったのではないかと心残りでした。
しかし、こちらの心配をよそに本当によくやってくれました。技能実習生の純粋さ、まじめさ、ひたむきさなど、いろいろなことを教えられ、その姿勢を見習いたいと思っています。いつかまた、一緒に仕事がしたいです」と感無量な様子でした。一期生を無事育て送り出すことへの安堵と、これからまた新たにやってくる技能実習生達の“日本のお父さん”として関わっていくことを楽しみにしているようでした。
企業プロフィール
会社名 | オージー技研株式会社 |
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住所 | 岡山県瀬戸内市邑久町向山77番地(邑久工場) |
設立 | 1966年9月1日 |
従業員 | 520名 |
事業内容 | 医療機器、福祉機器、健康機器の製造販売 |
URL | オージーウエルネスのページ http://www.og-wellness.jp/ |
ご担当者 | 製造部 國定 |
実習生について
国籍 | ベトナム |
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受入開始年月 | 2014年 |
採用人数(累計) | 6名 |
受入職種 | 電気機器組立て |